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La pagode

もう一つの目的、パゴドという映画館。

ボン・マルシェというデパートの社長が、奥さんに中国風の
建物をプレゼントし、その後 レストランなどを経て、映画館として復活したものだそう。

外観は観光用のお寺か?(パゴドとは寺院の意味)と思うほど。
映画を見なくても外観は見ることができるんだけど、この映画館は内装も中国風らしい。

これはチケットを買って、実際に映画を見なければ、と思い出陣。
ちなみに、部屋は二つあって、片方しか中国風ではない。
部屋の名前はSALLE JAPONAISE なので、中国風ではなく、日本風と捉えた方がいいのかしら?
(でも、私から見るとどう見ても中国風でした)

確かにとても美しい内装でした。
どこかの豪華なホールで映画を見る場合は別だけど、それ以外の純粋な映画館でこんな美しい内装を持つ部屋は世界でも稀なんではないでしょうか。つくづく、ヨーロッパのシノワズリっていいなぁ。

見た映画は、「ミレニアム」。一見 「デスノートか?」と思えるようなゴス調のポスター。
全世界で800万部売れたスウェーデン発のベストセラーが原作らしいです。

で、映画の感想としては、「これ、日本で公開されるのかなぁ・・・」ということ。

社会問題を暴く男性記者が、ある会社社長から消えた孫娘の失踪の真相を突き止めて欲しい依頼される。彼と一緒に、ハッカーとして暗躍する女性もその謎を追うといったような話なのですが・・・

その女性が身を危険にさらされるんですよね。
映画の最初の方で、地下鉄で男たちに絡まれる。
で、その女性は結構ボコボコにやられちゃうんですね。

ハリウッド映画だと、ヒロインがめちゃくちゃ強かったり、銃を持って反撃したりするような気が。
日本映画だと、そういうシーンはそもそもなかったり、もしくは男の人や仲間が間一髪で助けにきたり。
あまりそういうショッキングなシーンは見たことがなかったので、驚きました。

その後も、その女性はかなりひどい目にあうので、そっちの方にハラハラ。
帰ってきて検索してみたら、そもそもその原作の1巻目は「女を憎む男たち」というタイトルで、
男性の女性に対する暴行、性的暴力が多いスウェーデン社会に対する警鐘も含めて書かれた作品らしいです。


うーむ。明るいイメージしかなかったスウェーデンだけど、結構 怖いぞ・・・
そりゃそういう原作に基づいて作られた映画なら、そういうシーンも残るだろうさ。

でも、フランスでも流行ってないのではと思ったら、「天使と悪魔」の次に興行が良いと書いてあるじゃないですか。(もちろん3倍くらい差はあるけど) 
うーむ・・・・ヨーロッパの人って、大人だ。フランスではR12とのことだけど、日本ではR18でも足りないんじゃないか?

後日 ある外国人の方と映画の話をしたときに、その人が(別の作品のことですが)、「この作品は日本には"too tough"だ」、という言葉を使っていたのだけれど、その表現の意味が今 しみじみとわかる。日本という社会に対しては、確かにtoo tough な表現というものがあるものなのだわ。(そして、逆もまたしかり。今 問題になっている美少女ゲームとかね)

果たしてこの映画、日本公開されるんでしょうか。されても楽しみだし、されなかったとしても、その事象自体が興味深い。
やっぱり映画って、国や人の表象文化として面白いです。

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シネマテーク・フランセーズ②

特別展はジャック・タチ展、ジョルジュ・メリエス展をやってました。

東京の美術館、博物館って、常設展が微妙なのはともかくとして、特別展もあんまりぱっとしなくて
面白くないよなー、と勝手に思っていたのですが、フランスの展覧会は本当に面白い!
ここだけは、日本が追いつけてないところではないかと思ってしまいます。

(余談ですが、旅行の度にフランスに負けているなぁと思っていたことに、カフェの数、文房具の可愛さ、ハリウッド映画の公開の早さ、というのがあったのですが、これらはもう日本は追いついたと思う・・・
カフェもすっかり増えたし、文房具ももはや日本の100円ショップのものの方が可愛いし、ハリウッド映画の公開も今は日本もアメリカと同じだったりするし。(逆に、何で昔は遅かったんだろう?))

でも、美術展示の方法は、フランスをもっと真似してもいいんじゃないだろうか!?

例えば、タチ展は、入るといきなり長い廊下になっていて、右側にタチ作品の大きなパネルがズラッと並んでいる。左側はタチ作品に出てくる近未来的な会社を模して、オペレーション用機械やらを模型で作って飾ってある。この廊下を通ると、タチの偉大な作品の軌跡に思いを馳せると同時に、タチワールドに吸い込まれていけるわけですな。日本みたく「この展覧会の概要」みたいなところからは始まらない。

入ると、天井から電飾がつるされていて、よく見るとそれぞれがタチの映画のタイトル。
そして、「トラフィック」の電飾の下には、ミニカーがぶーぶー動いている「トラフィック」用の展示が、「僕の伯父さん」の電飾の下には、「僕の伯父さん」の家のミニチュアが、「僕の伯父さんの休暇」の
電飾の下には、"HULOT"(僕の伯父さんの名前)と文字がくりぬかれた大きな大きな板から覗くと、海辺の休暇の風景が覗ける展示が。
なんつーか、展示方法自体が、美術そのものみたいなもんです。

ま、よくよく考えてみると、前回来たときに見ることができたアルモドバル展のときも、一つ一つの作品から想起されるものを、日常的にある物(例えば電話とか、ベッドとか)を使って立体展示するやり方だったから、そういう意味ではワンパターンなのかもしれないけど、日本の、文化祭のパネル展示みたいな展示方法よりは良いように思います。遊び心があって。

メリエス展はそれよりは小規模でしたが、壁の色は赤でした。これも日本ではないわー。
赤の壁に囲まれて、薄暗い照明なので、ものすごく不安になります。でも、良い意味で"胸苦しくなる"感じ。映画の甘美で危険な側面を表しているようで、これも上手いなーと思ってしまう。フランスでの赤は、よく使われる色なんでしょうね。

最後に、ミュージアムショップで雑誌や本を買って終了。
ゴダールの3冊セットの本を買ってしまったのですが、良くみたら以前買った本の分冊版かもしれない。でもついゴダールの写真が載っていると買ってしまうというミーハー感が抜けません。すりこみは怖いもんです。

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シネマテーク・フランセーズ①

フランス旅行から帰ってきました。

結構 長く滞在したはずが、観光らしい観光をした記憶がない・・・
土産話を聞いてよ!と友達を誘うものの、「その滞在のどこが面白いの?」と返されることが多い日々でございます。

パリでの目的は主に2つ。

・シネマテークフランセーズに行く
・パゴドという映画館に行く

です。

あまり時間はなかったのですが、5月のパリは夜9時でも昼間のようで、
夜出歩いてもあまり怖くはなく、それで上の2つにも無理やり行けたかなーという感じです。

シネマテークフランセーズは、以前フランスに旅行したときも何回も
行こうとチャレンジしたのですが、休館日だったり、移転準備中だったりと
ずっと入れませんでした。前回の旅行時に初めて入ったので、今回は2回目。

本当はシャイヨー宮だったか、パレ・ド・トーキョー内だったか、
移転前のシネマテークに行ってみたかったなぁ。
ベルトルッチの「ドリーマーズ」に出てきたやつ。
トリュフォーやゴダールやシネフィル達が、ラングロワ解任のデモをしたときのシネマテーク。
今はベルシーというところにあるのですが、そういう歴史はないからなぁ。
なんか普通の博物館という感じです。

常設展と特別展と映画上映用チケットの窓口がそれぞれ違うというわかりにくい
窓口でチケットを買い、(結局 間違えた) 私にとっては垂涎もののパンフレットを入手。
今はダウンロードもできるのですが、紙のものはやっぱり素敵。
割と厚みがあり、表紙も素敵で、他のどこの国にこんなに豪華な
映画博物館用のパンフレットを作れるところがあるというのだ、といつも思います。

ただ、本当は特別展でやっている「僕の伯父さん」が表紙のものが欲しかったのに、
月が変わってメリエスだか何だかの怖ーい表紙になっていてちょっとガッカリ。

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アベックモンマリ

ビデオ屋さんで中古で売っていたのでVHSを購入。「NANA」「約三十の嘘」などの大谷健太郎監督の初監督作品。一緒に二作目の「とらばいゆ」も買いました。「アベックモンマリ」はもうかれこれ4回くらい見ているはず。「とらばいゆ」も2回ほど。じゃあDVDを買えよって感じですが、まさかここまで引きずるとは思わなかったので、そのたび借りたり、中古ビデオを買っては捨ててしまったり。

いやー、何でここまで合うんだろう。何回見ても、会話や仕草にキュンキュンきてしまいます。

あらすじはこんな感じ。

気の強いキャリアウーマンの妻・美都子と、ボタン付けも自分でやってしまう、売れないカメラマンの夫・タモツ。ひょんなことから喧嘩をしてしまい、離婚届を出すまでに発展。家を出てけと言われたタモツは友達のマリの家に転がりこむが、マリには実は美都子の同僚である中崎という旦那がいて…登場人物はほぼこの4人。ひたすらこじれてしまったお互いのことについての会話が繰り広げられるだけなのですが、独特の間があって、役者さん達もピッタリで良いんだよなぁ。

気が強くて意地っ張りの美都子は板谷由夏。マリの旦那の中崎は大杉漣 。板谷由夏は背が高くてキレイ。口は悪いしガサツだけど、そこが実は可愛いくもある美都子にピッタリ。大杉漣 は年下の妻がタモツと浮気しているのではないかと疑う中年男性の役なのだけれど、飄々としていて、陰惨になりかねない4人の会話をあっけらかんとしたものにするのを助けている。そしてタモツ役の小林宏史さん!(何故ここだけさん付け…)他の出演作品はあまりよく知らないのですが、久しぶりに見て、あ~、私の理想のタイプはこんな感じなのだわ、と納得。

炊事洗濯もささっとこなすけど、ヒモかというほど稼ぎは頼りない。髪も長めで、顔も優男風。着てる服もクターッとしてる。でも、かつて読んだレビューにもあったけど、なんだかんだ言って美都子・タモツ夫婦を引っ張っているのはタモツの方に思える。決して美都子に怒ったりしないけど、彼女の長所も短所も癖もわかっているし、押せばすぐになびきそうに頼りないのに、なんだかんだ言って浮気はしない。そして実はとても男らしい色気を持っている。最後の方のあるシーンには、自分の中に辛うじて残っている乙女心がギュンギュンにかきたてられます。

…田口トモロヲはこの作品を「アットホームなカサヴェテス」と評したらしいですが、言い得て妙。 むー、毎日見ても飽きないぞ。

翻って「とらばいゆ」。うーん、なんか「アベックモンマリ」をもう少し豪華なメンバーで撮ってみました、という気がしなくもない。気が強い妻とそれに翻弄される夫、それを取り巻くカップル2人という構図がとても似ている。メンツが瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳と豪華なところは少し違うけど。でも、瀬戸朝香が可愛らしさを感じさせるというよりは本当に怖いし、塚本晋也は本当に妻に押されて、しかも怒り>愛情という感じだし、で(「アベックモンマリ」のタモツは愛情>怒りね)「アベックモンマリ」的な良い雰囲気が出ていないのが残念。「アベックモンマリ」の中の、堂々巡りなんだけど、ちょっと滑稽でちょっとエロティックな男女4人の会話といったニュアンスがなくて、本当に4人で喧嘩しているように見えてしまって、ちょっと辛い。

「とらばいゆ」も良いのですが、きっと「アベックモンマリ」には映画の神様が降りてきてると思うんだよなぁ。

そして、小林宏史さんが我が敬愛する西島秀俊氏に似ていることに最後に驚く私。人の顔の好みってどこまで限定的なの!

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リンチ・オールナイト

ある団体のお手伝いをした後、池袋・新文芸座にデビッド・リンチのオールナイトに行く。

オールナイトは川勝正幸さん、滝本誠さんのトークショーから開始で、22時45分スタート。お手伝いは当然それまでに終わるだろうと思ったら、色々あって結局 トークショーには間に合わなかった。一度 生川勝さんが見たかったのだけれど。(と思ったら、遅れて入ろうとしたエレベーターから降りてきてビックリ。一応 生川勝さんが見たいという欲求は叶ったが・・・)

内容は「イレイザーヘッド リマスター版」「ザ・ショートフィルム・オブ・デビッドリンチ」「ザ・ベストオブ・デビッドリンチ・ドットコム」の3本立て。お恥ずかしいことに「イレイザーヘッド」は初見。「ザ・ショートフィルム・オブ・デビッドリンチはその名の通り短編6本、「ザ・ベストオブ・デビッドリンチ・ドットコム」は会員制サイト・デビッドリンチ.comで発表された作品群。

短編やネットで発表された作品なので、実験的な作品も多い。でも、24歳で撮った短編「グランドマザー」と、リンチ自身がひたすらお手製のランプを作る「Lamp」は見ることができて本当に良かった。「グランドマザー」は、子供が見た小さな悪夢のようなストーリー。厳しい両親を持った子供がベッドの上に種を蒔き、木が生えてそこからグランドマザー、つまりおばあちゃんが生まれてくる。繰り返される両親の叱責、それに対して優しく存在する祖母、唇だけが赤く光る美しい男の子、その男の子の頭の中を表しているであろう、落書きのような残酷な絵。見ていてとても惹きつけられる、美しいオブセッションに満ちた作品でした。

「Lamp」は、リンチがひたすらお手製のランプの作り方を説明する作品。、私も一緒に見に行った友達も玉砕し、途中で爆睡。(といっても一部だけですが・・・)リンチのこだわりや人となりが伺えるようで楽しい作品でした。ランプの幹に塗る色の発色にこだわり、それを何度も塗り直し、休憩を入れ・・・という様子を見ていると、そこにリンチの作品作りの様子が垣間見えるようで嬉しい。「イレイザーヘッド」などを見ると、この人はギャーッと発狂してドーッと作品を作っているのでは、と素人の私は思ってしまいますが(でも実は5年かかった作品!)実際のところはこのランプ作りのように、試しては変え、チェックし、そして規則正しく、自分が表現したいものを撮っていっているんだろうな、と。「インランド・エンパイア」でも、どうしてこんなに繰り返し、少しずつ角度を変えたリフレインが続くのだろう?と不思議に思っていたのですが、「Lamp」を見て何か妙に納得。映画は何分で終わらなければいけないとか、何分頃にはカタルシスがないといけないとか、そういった妙な方程式ではなく、私たちはリンチのような頭の中を、彼の時間の尺度で、彼のこだわりに沿って見せてもらえるだけでも幸せなのだなぁと、一連の作品を見て思いました。

とはいえ強烈なリンチファンという訳ではないので、「ツインピークス」とか、もう一度見なきゃ。

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